相続税が加算できる取得費加算の特例とは?適用できないケースや税制も解説

2024-07-16

相続税が加算できる取得費加算の特例とは?適用できないケースや税制も解説

この記事のハイライト
●取得費加算の特例は支払った相続税の一部を譲渡所得を計算する際の取得費に加算できる特例
●取得費加算の特例が適用できないケースは贈与により取得した場合や夫婦間の相続の場合である
●取得費加算の特例と併用できるのは3,000万円の特別控除や小規模宅地等の特例である

相続により取得した不動産を売却する際は、所得税や住民税などの負担を軽減できる「取得費加算の特例」が利用できる可能性があります。
また、取得費加算の特例は、ほかの税制度とも併用できるため、併せて利用することで大幅に税金の負担を減らすことが可能です。
そこで、取得費加算の特例とはなにか、適用できないケースや併用できる税制について解説します。
静岡市駿河区を中心に葵区、清水区、焼津市、藤枝市で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。

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相続税を取得費に加算できる?取得費加算の特例とは

相続税を取得費に加算できる?取得費加算の特例とは

相続した財産を一定の期間内に売却すると、税金が安くなる特例があるのをご存じでしょうか。
それは「取得費加算の特例」と呼び、所得税の負担を軽減することができます。
ここでは、取得費加算の特例の概要や適用要件について解説します。

取得費加算の特例の概要

取得費加算の特例とは、相続などにより取得した不動産を一定期間内に売却した場合に、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算できる特例です。
不動産を売却して売却益(譲渡所得)が発生すると、確定申告をおこない必要に応じて所得税や住民税を納めなければなりません。
この譲渡所得を計算する際に用いるのが「取得費」であり、この取得費に加算することができる特例です。
具体的にいえば、譲渡所得は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
この計算式の取得費に相続税額の一部を加算することにより、譲渡所得を減らすことができます。
つまり、所得税や住民税は譲渡所得に課される税金のため、譲渡所得が減れば当然ながら税金を軽減することができるのです。

取得費加算の特例を受けるための要件

取得費加算の特例を受けるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 相続や遺贈により財産を取得していること
  • 取得した方に相続税が課せられていること
  • 相続開始から3年10か月以内に売却していること

上記のことから、取得費加算の特例を受けることができるのは、遺産を相続などにより取得し相続税を納めた方となります。
そのうえで、相続開始の3年10か月以内に売却することで、特例の適用対象となります。
また、取得加算の特例を適用させるためには、相続財産を売却した年の2月16日から3月15日までに確定申告をおこなう必要があるので注意しましょう。

計算方法と計算式

取得費に加算する相続税額は、以下の計算式で算出します。
取得費加算できる相続税額=相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除)
たとえば、支払った相続税額が5,000万円で、相続した不動産の財産が1億円、全体の相続財産が2億円、債務控除は0円の場合は以下のように計算できます。
取得費加算できる相続税額=5,000万円×1億円/(2億円+0円)=2,500万円
つまり、このケースであれば2,500万円を譲渡所得を計算する際の取得費に加算することができます。

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相続税が加算できる取得費加算の特例が適用できないケースとは?

相続税が加算できる取得費加算の特例が適用できないケースとは?

取得費加算の特例は、以下の場合は利用できないため注意しましょう。

  • 贈与によって取得していた場合
  • 夫婦間の相続であるとき
  • 譲渡所得以外で申告するとき

それぞれのケースを解説します。

適用できないケース①贈与によって取得していた場合

贈与によって取得した不動産を売却した場合は、特例が適用されないため注意が必要です。
前述したように、特例が適用されるのは、相続もしくは遺贈によって取得した場合です。
つまり、それ以外の方法によって取得した場合は、特例の適用外となります。
ただし、贈与によって取得した場合でも、以下の2つを利用したことにより相続税の対象となった場合は、取得費加算の特例を受けることが可能です。

  • 相続時精算課税制度
  • 3年以内加算制度

相続時精算課税制度とは、生前贈与された課税を相続時まで先送りにする制度です。
3年以内加算制度とは、贈与後3年以内に贈与者が死亡し相続が開始した場合、贈与自体がなかったとされ贈与分も相続財産として加算される制度です。
これらの制度により相続税の課税対象となった場合は、贈与による取得でも取得費加算の特例を受けることができます。

適用できないケース②夫婦間の相続であるとき

夫婦間の相続の場合は、配偶者に税額軽減が適用されるため、そもそも相続税が発生しない可能性が高くなります。
取得費加算の特例が利用できるのは、前述したように相続税が課されていることが条件です。
そのため、夫婦間の相続の場合は、そもそも対象外となるケースが多くなります。
なお、配偶者が受けられる税額軽減とは、1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分相当額まで非課税となる制度です。
つまり、この制度が適用されるため、多くの配偶者が相続税を支払わずに相続財産を取得することができます。

適用できないケース③譲渡所得以外で申告するとき

相続した財産のうち、個人事業による棚卸資産などを売却した場合は、事業所得となります。
取得費加算の特例が利用できるのは、譲渡所得のみであるため、事業所得や雑所得、山林所得には特例を使うことはできません。
相続した財産を売却すれば、すべてに特例が利用できるわけではないため注意しましょう。

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相続税の取得費加算の特例は他の税制と併用できる?

相続税の取得費加算の特例は他の税制と併用できる?

最後に、取得費加算の特例と併用可能な税制を解説します。
併せて特例を利用して、さらなる節税対策をおこないましょう。
併用可能な税制および特例は以下のとおりです。

  • マイホーム売却した場合の3,000万円の特別控除
  • 居住用財産の買換え特例
  • 小規模宅地等の特例

それぞれの特例についてご説明します。

併用可能な制度①マイホーム売却した場合の3,000万円の特別控除

マイホームを売却した場合は、譲渡所得から最大で3,000万円控除できる制度で、取得費加算の特例と併せて利用することが可能です。
3,000万円の特別控除により譲渡所得がゼロもしくはマイナスになるケースも多く、所得税や住民税を抑えることができます。

併用可能な制度②居住用財産の買換え特例

マイホームを買い換えにより売却した場合は、譲渡所得にかかる税金が先送りされる制度です。
ただし、この制度はあくまでも税金が先送りされる制度なので、買い換えた家を売却する際はまとめて税金を納める必要があります。
なお、この制度も取得費加算の特例と併用することが可能です。

併用可能な制度③小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続した財産のうち一定面積まで相続税の課税価格が減額される制度です。
たとえば、被相続人が居住用としていた家を相続した場合は、330㎡までの面積について80%減額されます。
適用されれば、相続税を大幅に節税できるのが特徴です。
ただし、利用条件などが複雑なため、利用する際は適用条件を確認しておきましょう。

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まとめ

相続により取得した不動産を売却した場合は、取得費加算の特例を利用することで大幅に所得税や住民税の負担を減らすことができます。
ただし、生前贈与により取得していた場合や、譲渡所得以外の方法で申告する場合は、適用されないため注意が必要です。
また、3,000万円の特別控除や小規模宅地等の特例と併用することで、大幅な節税が期待できるでしょう。
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