2026-08-15
静岡市で不動産売却を考えたとき、多くの方が気にされるのは価格や売却までの期間かもしれませんが、実は越境問題への対応も同じくらい重要です。
境界線をまたいだ塀やブロック、屋根の張り出し、樹木の枝などが原因となり、思わぬトラブルや値引き交渉につながることがあります。
しかし、あらかじめ状況を整理し、適切な解決方法を検討しておけば、不安を小さくしながら売却を進めることは十分可能です。
この記事では、静岡市で不動産売却を予定している方に向けて、越境問題の基礎から、調査の進め方、主な解決方法、そして売却を安全に進めるためのポイントまでを、順を追って分かりやすく解説します。
所有する土地や建物に越境の不安がある方はもちろん、念のために確認しておきたいという方も、ぜひ参考にしてください。
越境問題とは、本来の境界線を超えて建物や工作物、樹木の枝や根、給排水管などが隣接地に入り込んでいる状態をいいます。
たとえば、屋根やひさしが隣地の空間にはみ出していたり、ブロック塀の一部や基礎が境界線を越えて埋設されているケースが典型例です。
また、自分の所有物が越境している場合だけでなく、隣地から自分の敷地側に越境している場合も含めて越境問題と捉えられます。
こうした越境は、目に見える部分だけでなく地中の配管など見えにくい部分でも生じるため、売却前の確認が重要になります。

静岡市で不動産を売却する際に越境問題があると、買主が利用や建替えに不安を感じるため、購入を見送ったり、価格交渉の材料となるおそれがあります。
樹木の枝やブロック塀などの越境は、撤去や移設に費用や時間を要する場合があり、その負担が誰に生じるかが明確でないと、取引自体が長期化しがちです。
また、給排水管や基礎部分の越境のように是正が難しいものは、将来のトラブル懸念から、買主が慎重になり契約成立までに時間がかかる傾向があります。
このように越境問題は、売却価格の下落要因となるだけでなく、売却スピードにも影響する点を押さえておく必要があります。

売主には、把握している越境の有無や内容を買主に正確に伝える説明義務があり、契約書や物件状況報告書と実際の状態が異なる場合、契約不適合責任や説明義務違反として損害賠償を求められる可能性があります。
実務上も、境界ブロック塀や地中配管などの越境について十分な説明がされなかった事案で、損害賠償責任が問題となった裁判例が蓄積されています。
もし越境問題を知りながら告げずに売却した場合、売買契約の解除や是正費用の負担を求められるおそれがあり、売主にとって大きなリスクとなります。
そのため、越境の疑いがある段階から、事実関係を整理し、書面などで明確にしておくことが重要です。
| 項目 | 典型的な内容 | 売主側の主なリスク |
|---|---|---|
| 建物・工作物の越境 | 屋根・ひさし・塀・基礎部分の越境 | 是正費用負担・価格減額要求 |
| 樹木・配管の越境 | 枝葉や根・給排水管などの越境 | 損害賠償請求・利用制限懸念 |
| 説明義務違反 | 越境事実の不告知・不十分な説明 | 契約解除・契約不適合責任追及 |
越境問題を防ぐためには、まず現地で土地と建物の状況を丁寧に確認することが大切です。
具体的には、境界標が設置されている位置や数、傷み具合を一つずつ見ていきます。
あわせて、塀やブロック、生け垣、建物のひさしや屋根の出、雨どい、給排水管などが境界線をまたいでいないかも目視で確認します。
この段階で少しでも不自然なずれや越境の疑いがあれば、早めに専門家へ相談する前提でメモや写真を残しておくと、後の整理がしやすくなります。
現地確認に加えて、登記情報や地図資料をそろえることも重要です。
法務局で取得できる地積測量図や公図は、筆界と呼ばれる土地の境を示す基本資料として利用されます。
また、自治体が公表している都市計画図や都市計画情報からは、用途地域や道路計画など、将来の利用制限に関わる情報を確認できます。

こうした資料を現地の状況と見比べることで、塀の位置と登記上の境界がずれていないか、造成や道路整備の影響で境界の認識に差が生じていないかを確認しやすくなります。
それでも境界があいまいな場合や、隣地所有者と認識が食い違う場合には、測量や筆界特定制度の活用を検討します。
土地家屋調査士による測量は、現況を正確に図面化し、関係者立会いのうえで境界確認を進める際の基礎となります。
さらに、筆界そのものが不明確なときは、法務局に申請して筆界特定制度を利用し、筆界特定登記官の判断で筆界の位置を明らかにする方法もあります。
加えて、法務局や専門相談窓口の境界問題相談会を利用すれば、必要な手続や資料について具体的な助言を受けながら、売却前に越境リスクを整理しやすくなります。
| 確認段階 | 主なチェック内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 現地確認 | 境界標や塀、屋根の出の有無 | 越境の疑いの早期把握 |
| 資料収集 | 地積測量図や公図、都市計画情報 | 登記上の境界と利用制限の確認 |
| 専門手続 | 測量や筆界特定、相談会の利用 | 境界紛争予防と売却条件整理 |
越境問題の解決方法としては、越境している塀や樹木、配管などを撤去または移設する方法、越境部分の土地を売買して所有権を整理する方法、越境を認めたうえで使用承諾書や覚書を取り交わす方法などがあります。
どの方法を選ぶかは、越境の程度や工作物の種類、隣地所有者との関係、将来の利用計画などによって変わります。
また、不動産の売却時には、買主が住宅ローンを利用するかどうかや、引き渡し希望時期との兼ね合いも考慮する必要があります。
そのため、複数の解決策を比較しながら、売却スケジュールとの整合を図ることが大切です。
越境問題を解決するには、まず現状を正確に把握し、隣地所有者と冷静に話し合うことが出発点になります。
口頭での合意に頼ると、将来の所有者に内容が伝わらず、再び紛争になるおそれがあるため、合意内容は必ず書面にまとめておくことが重要です。

特に、越境状態を継続させる代わりに地代相当額を支払う場合や、将来建替え時に撤去する条件を付ける場合などは、条件を具体的に記載した覚書や使用承諾書を作成しておくと安心です。
こうした書面が整っていると、買主も越境リスクを把握しやすくなり、売却後のトラブル防止にもつながります。
越境物の撤去費用は、例えばブロック塀であれば一般的に1㎡あたり約5,000〜10,000円程度が目安とされ、規模によっては全体で10万円〜30万円台になることもあります。
庭木の伐採や撤去費用も、樹高や本数により1本あたり数千円〜数万円程度とされており、複数本に及ぶとそれなりの金額になります。
また、隣地との協議や書面作成、必要に応じた測量などには、数週間から数か月程度を要する場合もあり、不動産売却のスケジュールに先行して着手することが望ましいです。
売却活動を始める前に、どの解決方法を選択するかと必要な期間・費用の概算を整理しておくことで、価格設定や引き渡し時期の見通しが立てやすくなります。
| 解決方法 | 費用・期間の目安 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 越境物の撤去・移設 | 数万円〜数十万円・数日〜数週間 | 越境解消による安心材料 |
| 土地の一部売買 | 測量・登記費用含め数十万円前後 | 境界明確化で将来の紛争予防 |
| 使用承諾書・覚書の締結 | 書面作成期間数週間程度 | 条件明示によるリスク低減 |
越境や境界トラブルを抱えたまま不動産を売却しようとすると、売買契約の直前で問題が発覚し、価格の見直しや契約中止に至るおそれがあります。
そのため、まずは公的機関や専門相談窓口を上手に活用し、越境の有無や境界の状況を早い段階で整理しておくことが大切です。
静岡市では、法務局の不動産登記部門による相談や、市が案内する土地家屋調査士相談、市内に事務局を置く静岡境界紛争解決センターなど、境界問題を専門的に扱う窓口が用意されています。
こうした窓口を適切に選び、段階的に相談を進めることで、将来の紛争リスクを抑えながら売却準備を進めやすくなります。
次に、相談の前にどのような資料をそろえるかが重要です。
登記簿謄本や地積測量図、公図などは法務局で取得でき、越境や境界の検討に必要な基礎資料となります。
あわせて、過去に行った境界立会いの記録や、隣地所有者との話し合いのメモ、塀や樹木の位置が分かる写真などを整理しておくと、相談窓口で状況を正確に伝えやすくなります。
これらの資料を準備したうえで、現在感じている不安点や疑問点を箇条書きにしておくと、限られた相談時間を有効に活用しやすくなります。
さらに、越境問題を踏まえた売却戦略を早めに検討しておくことで、売却全体の見通しが立てやすくなります。
例えば、静岡地方法務局と静岡境界紛争解決センターが協力して行う境界問題相談会などを利用し、越境の有無や解決の方向性を確認してから売却活動へ進む方法が考えられます。
解決に時間がかかりそうな場合は、手続きの期間を売却スケジュールに織り込み、いつまでにどこまで解消しておくかをあらかじめ決めておくことが重要です。
このように、早期に相談し、段階的に対応方針を固めておくことで、買主への説明もスムーズになり、安心感の高い売却につながります。
| 相談先の種類 | 主な役割 | 相談前の準備 |
|---|---|---|
| 法務局不動産登記部門 | 登記簿や図面の取得案内 | 所在や地番のメモ |
| 土地家屋調査士相談窓口 | 境界の確認方法の助言 | 現地写真や図面一式 |
| 静岡境界紛争解決センター | 境界紛争の話合い手続 | 経緯整理と資料一括 |
越境問題は、塀や樹木、屋根、配管など身近な部分で起こりやすく、不動産売却の価格やスケジュールに大きく影響します。
あいまいな境界を放置すると、契約不適合や近隣トラブルにつながるおそれがあり、売主としての説明責任も問われます。
そのため、売却前に現地確認や図面類の整理を進め、必要に応じて測量や専門機関への相談を行うことが重要です。
当社では、越境の有無の確認から、近隣との調整、書面の取り交わしまでを見据えた売却計画づくりを丁寧にお手伝いいたします。
越境問題を不安に感じておられる方は、まずはお気軽にご相談ください。
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